概念と歴史
ライフコースの再想像
近年の技術革新、医療の進歩、情報と経済ネットワーク拡大の加速化によって、「人間」の概念の見直しが迫られている。人々のライフコースとエイジングの経験が変容・多様化するなか、ライフコースを新しい視点から考え直し、尊厳をもって生き、老いるとは何を意味しうるのかを問うことが必要になっている。
本サブユニットではこの必要性に応え、ライフコースについての理解を広めることを目指す。「人間」のライフコースとは何か?いかようにありうるか?人間・非人間の他者とどう共存するのか?身体、環境、社会正義、世代間の関係性、未来についてどう考えるのか?これらの問いについて考えるにあたり、本プロジェクトはテキスト・ベースの方法を用いる。文学・文化テキストの分析を行い、分析の枠組みとして、エイジング・スタディーズの近年の成果、フェミニスト、クイア、環境批評を主とする文化・文学批評の視点を参照する。究極的には、本研究が、人文科学研究が現代的課題解決に貢献しうることを示す一例となることを期待する。